カーボンリサイクルと低エネルギーなDAC

カーボンリサイクルと低エネルギーなDAC

湿度スイング式DAC(MSA-DAC)は,乾燥した環境ではCO2を吸着し, 湿潤な環境で脱離する機能をもつ陰イオン交換樹脂を吸着フィルターとして利用して, 水を用いて常温でCO2回収・分離を行うことができる技術です.

理論上は,従来のDAC技術に比べ 約半分~1/4の外部エネルギー量でCO2を回収 できます. 湿度スイング式DACは大きな規模の社会実装が困難と考えられていましたが, CRERCが実験室レベルで開発に成功した技術では,東京ドーム4 個分の広さの吸着フィルターで, 日本国内で2050 年に運輸部門から排出されるCO2量相当を回収できると試算されます.

concept

再生可能エネルギーでCO2回収を可能に

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2.4億トンのCO2回収に必要な吸着材,消費電力,水の量
吸着材

4.7億 m3

東京ドーム約4杯分に相当

消費電力

167 TWh

日本の再生可能エネルギーによる
発電量の74%

水の量

20億 m3

日本のダムの貯水量の約12%

経済効果

再生可能エネルギーでCO2回収が可能になる.

  • CO2回収・分離市場:2030年5兆7千億円,2040年7兆円規模
  • 日本の電力産業:20兆円規模の売り上げ

MSA-DACによる地球環境への貢献と経済効果

2030年までに低エネルギーなカーボンリサイクル技術を学内実証する.

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カーボンリサイクルエネルギー研究センターロードマップ

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カーボンリサイクルを拡大していく絵姿

2030年までに基盤技術確立!

水素の調達環境や技術成熟等を踏まえつつ、各製品分野における可能な限り早期の技術確立,低コスト化,普及を目指し,技術開発や実証を進める.

  • MSA-DACシステムの実用化
  • CO2輸送網の確立
  • 燃料合成技術の確立
  • 合成燃料の高効率利用,ゼロエミッション技術の確立
  • CO2削減量の評価技術,インセンティブ制度の確立
  • DACシステム導入の補助制度確立
  • 再生可能エネルギーが豊富な地域との国際連携

CO2回収技術の社会実装までのシナリオ - 本格的社会実装まで

Working Group

世界で最も低エネルギーな
DACシステムを

設定するワーキンググループ(WG)
および目標とする成果

working group1

システム効率化指針

水の供給と熱マネジメントを
最適化した装置の
開発指針の取得と耐久性評価

working group2

吸着材開発指針

既存システムと同等以上の
CO2吸着容量を持ち
乾燥しやすい吸着材の
開発指針の取得

working group3

LCA評価・システム開発指針

MSA-DACシステムの
LCA解析手法の構築と
それを用いた
装置導入シナリオの作成

年間10トン回収可能なMSA-DACシステムを構築して
CO2回収に必要なエネルギーを従来システムの1/4すなわち2.5 MJ/kg-CO2以下で実現する
という挑戦的な目標を掲げる.

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2030年国内再エネ導入目標:最大353 TWh

資源エネルギー庁

https://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/energy2023/07.html
これにより,世界で最も低エネルギーなDACシステムを開発し,
アルカリ吸収法やアミンを用いた 他の既存手法よりも更に圧倒的な優位性を示す.

水の供給と熱マネジメントを最適化した装置の開発指針の取得と耐久性評価

装置設計に資するモデルの構築を行い,装置の設計指針を得ることを研究内容とする.

1.送風(吸着), 2.水循環(脱離),3.分離回収(CO2圧縮),4.乾燥

MSA-DACの工程:送風と乾燥工程の消費エネルギーを削減する

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  1. Matlabを用いたMSA-DACのモデル化
  2. モデル化に必要なラボスケールの実験
  3. モデルを用いた低エネルギー化の指針取得
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既存システムと同等以上のCO2吸着容量を持ち,乾燥しやすい吸着材の開発指針の取得

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  1. 官能基の構造,数を変化させたサンプルを構築
  2. CO2の吸着速度,吸着容量を評価
  3. 分子動力学計算とともに,官能基数と官能基の構造の最適な組み合わせを明らかにする.
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吸着材の開発は競争領域になる可能性があり,実施しないが,ポリマーの構造を変えて吸着材を構築して吸着容量を評価し,吸着材の設計指針を得ることを目的とした研究を実施する.

小型MSA-DACシステムの導入シナリオの作成及びLCA解析手法の構築

サブテーマ1:MSA-DACシステム導入時のエネルギー予測モデル構築と,最適な導入手法の提案
研究の狙い

MSA-DACシステムの最適利用法を提案すること.

研究内容
  1. CO₂回収エネルギー予測,モデルに関する文献調査
  2. 日立市を例にして,CO2排出量の見える化モデルを構築し,CO2分布を明確化する.
  3. CO2回収時のエネルギーを予測できるモデル構築
  4. 日立市を例にしたMSA-DACの最適活用法を提案
  5. 参加企業によるサプライチェーン構築の検討
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サブテーマ2:MSA-DACシステムのLCA手法の構築
研究の狙い

MSA-DACシステムのLCAを行い,装置の生産から廃棄までを考慮した最も消費エネルギーを少なくできる装置の提案を行う.

研究内容
  1. DACのLCAに関する文献調査
  2. MSA-DACシステムのLCA構築に必要なインベントリデータの収集
  3. LCAを構築し,環境影響評価を実施する.
  4. 感度解析を実施し,ライフサイクルで最も消費エネルギーが低い装置構築の指針を得る.
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Research Group

MSA-DACの実装化を目指すMSA-DAC研究会

MSA-DAC研究会の実施体制と位置づけ

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MSA-DAC研究会の実施体制

ご挨拶

2050年のカーボンニュートラルに向け,二酸化炭素の回収技術の確立は喫緊の課題であり, 特に大気からの二酸化炭素回収技術については,消費エネルギーとコストを削減することが必要です.

茨城大学カーボンリサイクルエネルギー研究センターでは,湿度スイング法に着目し,できるだけ消費エネルギーを削減した大気からの二酸化炭素回収技術の確立に向けて研究を推進しています.これまでの研究により実験室レベルでの二酸化炭素回収技術は確認できている一方で,社会実装を狙うためには,ベンチレベルにおいて消費エネルギーを削減するための研究を企業の皆様と継続していく必要があります.

また,広く社会実装するためにはできるだけ多くの企業に活用してもらうことが重要であり,研究段階から企業と知見を共有し,社会実装までの時間を短縮することが求められます. そこで,消費エネルギー削減を目指した湿度スイング法を活用し,大気からの二酸化炭素回収技術の社会実装推進に必要な研究開発指針を得ることを目的としたMSA-DAC研究会を立ち上げました.

研究会の活動は2025年11月から開始しております.
研究会では,消費エネルギーの削減に向けて必要となる3つのテーマ,

  1. 湿度スイング法に最適な水と熱の
    マネジメント手法
  2. 湿度スイング法に最適な吸着材
  3. ライフサイクル解析による製造から利用までの
    省エネ化

を設定し,研究開発指針を得ることを目的とした活動を行います.

カーボンニュートラルに必要な大気からの二酸化炭素回収技術の確立に向け皆様の協力が必要であることから,多くの企業の方に参いただければと考えています.
研究会で活動を行う内容について別添資料に記載しておりますので,ご覧いただき,参加をご検討賜れればと思います.
何かご質問がある場合は,お問い合わせにご連絡ください.

田中光太郎 /
茨城大学カーボンリサイクルエネルギー研究センター センター長

茨城大学大学院理工学研究科(応用理工学野)教授.大阪府出身.
独立行政法人交通安全環境研究所,CNRS Nancy University(フランス),東京大学環境安全研究センターなどを経て,2012年に茨城大学着任.
次世代燃料を用いたエンジン燃焼,排気計測,排気浄化システムの高度化が専門.

Member

参画いただける機関・企業を
募集しております.

会員区分

正会員
賛助会員
特別会員
研究経費
共同研究経費(税込): 3,000,000円
内訳 直接経費: 2,307,000円
間接経費: 693,000円
寄附金100,000円を一口として
大企業は5口以上・中小企業は3口以上
別途協議
参加可能WG
全てのWG
×
×
成果報告の共有
活動報告のみ
活動報告のみ
運営協議会への参加
×
×(別途協議)
知的財産のノウハウ等
フォアグラウンドIPは
原則無償で実施許諾
×
×
参加者限定のセミナー及び
イベント等への参加

会員一覧

正会員
新菱冷熱工業株式会社
関彰商事株式会社
大陽日酸東関東株式会社
中日本高速道路株式会社
賛助会員
株式会社諸岡
昭和建設株式会社
特別会員
茨城県
日立市
ひたちなか市
株式会社日刊工業新聞社
茨城支局
常陽銀行
(2026年3月31日現在)

pilotproject

中日本高速道路株式会社との実証実験

2024年からは,NEXCO中日本と共同で,同社管内の高速道路のトンネル(場所は非公表)における実証実験を開始しました.

この実証実験では,1年間あたり1トンの量のCO2回収を計画しています.
この量は,回収したCO2を使って合成した燃料(e-fuel)で住宅1軒分の消費エネルギーを賄うのに相当するものです.

湿度スイング式DACの実証実験の設備

入会申込・関連書類ダウンロード

本研究会への入会をご希望の企業・自治体の皆さまは,以下より申込書をダウンロードのうえ,必要事項をご記入いただき,事務局までお送りください.

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お問い合わせ

茨城大学カーボンリサイクルエネルギー研究センター事務局

〒316-8511
茨城県日立市中成沢町 4-12-1 日立キャンパス(W1棟内)

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受付時間:平日10時〜16時 0294-38-5164

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※[at]を@に変更してご利用ください crerc-steering[at]m.ibaraki.ac.jp